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いや、暴力バーやキャッチセールスならよっぽど間抜けな客以外は同じ店に二度、三度とか。
られることはない。
ところが、ウォルマートは、以下に引用するように、ほかの店に行くという移動の自由、選択の自由はほとんどないような場所に住んでいる消費者をつかまえたら、その人間の一生の稼ぎの六割ぐらいは自分の店で搾り取ってやろうというんだから、暴力パーやキャッチセールスよりたちが悪いかもしれない。
(ウオルマートが出店するスーパーセンターは)地域によっては、一世帯あたりの年間消費額に占めるスーパーセンターのシェアが六01七パーセントにも達するという、驚異的な数字を記録しています。
一店でそこまでシェアが取れるのは、単に展開エリアが競合店の少ない田舎だからというだけではありません。
そもそも、石原はこんなあこぎな大井川の雲助みたいな商売を一生懸紹介して、日本の小売業に対してどんな意味があると思っているんだろうか?「だけではない」と気張ったところで、消費者の年間消費支出の六パーセントも一店で稼いでしまうような店は、ほかの唐に行くには車で一、二時間かかるようなド田舎に作って地域独占を成立させなければできっこないことは分かりきっている。
そうすると、日本でウオルマート型の地域独占戦略を実践しようとしたら、商圏人口二人とか、三人とかいったすさまじい過疎地でやるしかな何日本の消費者は、たとえ地方の小都市に住んでいても、ど電車で二分か三分行けばいろんな選択肢がある地方中か核都市で買いものができるという恵まれた環境に慣れきつにている。
とうてい、日常生活のための買いものの六割もの即金額をたった一軒の店に握られてしまうなどという不便な東生活を、我慢し続けるわけがない。
それにしてもうくづく感じるのは「だれでも、いつでも、好きなところに行けるから、自動車こそいちばん便利で民主的な交通手段だ」というイデオロギーを守り続けるために、アメリカふつうの庶民がどんなに過酷な生活上の不便を耐え忍んでいるかという事実だ。
これだけ交通機関も社会基盤も発達した現代消費文明の総本山アメリカ「ウォルマ1ト以外の屈で買いものをしようとしたら、車で二時間ぐらい飛ばさなきゃならない」などという生活をしている地方の住民は、いったいどういう生活感覚を持っているのだろうか?きっと、「車以外にもちゃんと消費文明を支えることのできる交通機関はあって、電車網の発達した大都市圏に住めば、自分の生活全体を人質にとられたような暮らしを耐え忍ぶことはないのだ」などということは一生知らないまま、人生を終えていくのだろう。
こういう他人の生活を人質に取ったようなあこぎな商売の正反対が、日本の鉄道ターミナル駅にあるデパートだ。
誉めているつもりで、ウォルマートの交通弱者たちを人質に取ったような商売の正体をさらけ出してしまった石原は叩また、けなしているつもりで、日本のデパートのありかたが、いかに小売業としてすばらしいかということも示している。
石原は、日本のデパートが対象としているのは地域を限定することさえできない「無限商圏」であると規定してから、以下のようにその「問題点」を指摘している。
四方八方から人が遊びに集まってくるグ遊民圏4 にある都心型デパートというのは、まず「商圏」という概念そのものが意味を持ちません。
どこからどのくらい流入してくるのかつかみょうがないし、一生に一度しか来ない客も大勢います0 ・それでも、無限商圏だから需要はあって一000億円、二億円という売上が上がってくるわけです。
客の姿は見えないし、購買動機も買物の目的もワーカーらない、なぜ売れるのかもワーカーらないけどJ宛れてきた。
そんな危うい構造のなかでつくられる販売実績が常に計画のベースになっていて、一脂に菓大な投資をして出店する。
いまの日本のデパートの危機的状況というのは、遊民圏の浮動需要に依存する従来の経営スタイルが破綻をきたした一種の自壊現象だと思います。
一店で大きな売上を上げる大商圏型業態はすでに終抑罵に向かい、代わってこれからは、そこそこの売上で成り立つ中1小商圏型業態が主流の時代になっていきます。
商圏は、大きければ大きいほどいいに決まっている。
無限商圏は、世界最強の商圏だ。
一居当たりで大きな売り上げが稼げるものなら、できるだけ店舗数は絞って一店当たりの規模を大きくしたほうが経営効率はいいに決まっている。
欧米でそういう小売業のありかたが育たなかったのは、別に小売業の経営者が大店舗型経営より中小店舗型経営のほうがいいと思ったからじゃない。
どんなに頑張ってみたところで、一店舗ではせいぜい年商五億1六億円ぐらいの売り上げしか稼げなかったから、しかたなくずっと経営効率の悪い中小脂舗の数をかき集める方針に転換せざるをえなかったのだ。
だいたい、「個別の客をしっかりつかんでいなきゃいけない」なんて商売であがる売り上げは一店舗当たり五億1六億円が関の山だろう。
個別に顧客特性をつかむなんてことは不可能なほど大勢の客を相手にしているからこそ、統計的な手法を駆使したマーケティングだって役に立つのだ。
「個別の客をつかんでいなけりゃ、需要予測ひとつ立てられない」という理屈は、いってる本人がまだ統計学の暗黒時代に生きていることを暴露しているだけで、日本のデパートという業態にとっては弱みでもなんでもなそして、なぜ欧米では大型店舗が育たなかったかといえば、電車が過去の遺物になってしまった欧米では、四方八方から人が遊びに集まってくるような場所そのものがなくどなってしまったからだ。
車中心の社会で人を集めようとすかると、集める人聞を吸収するのに必要な面積の四、五倍を山駐車場のために確保しておかなければならない。
莫大な空間への投資をして引き合うのは、プロスポーツ東と、ギャンブルと、テーマパークと、ロックコンサートと、新興宗教ぐらいのものだ。
アメリカは大群衆が集まってくるところといえば、こういうふつうの暮らしをしている庶民から見れば危なっかしくてケパケパしい、日常性を逸脱した場所だけだ。
テーマパークだけは、一見家族向けのエンターテインメントだから、あまり日常的な市民社会秩序を逸脱していないように見える。
ところがどっこい、ふだんは良識ある社会人として生活している分別あるおとなが、子供連れでテーマパークに行ったとたんに、「万人の万人に対する闘争」を地押しのけてでも、自分の子供たちに少しでも有利な場所を確保したい」といった焦りに突き動かされているからだろ日本には、ごくごくふつうの生活をしている人間が、毎日毎日通勤や通学のために鉄道拠点駅を使うという単純な理由によって、静かで平凡で市民社会の秩序をわきまえた大群衆として集まってくる場所がいくつも存在している。
新宿、池袋、渋谷、そして関西ではJR大阪駅と阪神・阪急の梅田駅周辺の合わせて四ヵ所では、めったに生のステージに出ない人気ロックグループの公演やボクシングのヘビー級のタイトルマッチ、あるいはアメリカフットボールのスーパーボウルが駆り集める人数よりもっと多くの人間たちが、一年三六五日、ほとんど毎日のように集まっては散っていく。
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